みなさんは手術後何日目にアスピリン内服を再開していますか?

Aspirin in Patients
 Undergoing  Noncardiac  Surgery
N Engl J Med  2014;Apr17

P.J.Devereaux et al


カナダのHamilton general hospital からの報告。筆者は疫学やさんのようです。
一般術後(心臓手術は除く)のアスピリン内服について検討した大規模
RCT
動脈硬化性疾患患者集団が手術後アスピリンを中止すべきか/継続すべきか?を検証した。

POISE-2 trial  (The Perioperative Ischemic Ecvalation -2 trial)
Trial Design
他施設:135施設 23か国
登録期間:登録期間は20107月~201312
対象:動脈硬化性の疾患またはそのリスクがあり、非心臓手術を受ける患者 10010例。

具体的には45歳以上の大手術を受ける患者で下の5つのクライテリアのうち一つを満たす人。
Inclusion criteria
非心臓手術をうける45歳以上で,以下の5つの基準のいずれかをみたす患者。
(1)冠動脈疾患既往
(2)末梢動脈疾患既往
(3)脳卒中既往
(4)血管大手術施行
(5)以下の9つのリスク因子のうち3つ以上を有する
70歳以上,大手術施行,うっ血性心不全既往,一過性脳虚血発作既往,糖尿病,高血圧既往,周術期血清クレアチニン>2.0mg/dL2年以内の喫煙,緊急手術施行])。

aspirin vs. プラセボ,clonidine vs. プラセボの2×2ファクトリアルで行われたが,本論文はaspirin vs. プラセボの結果報告。

Primary outcomeをRandomize30日間の死亡とnomfatalな心筋梗塞の発生としている。

 

術後よりアスピリン内服群とプラセボ内服群に分かれるが、primary outcomeでは有意な差は認められなかった。その他stroke,PE,DVT,PAD等についても検証されたが、これらについても両群間で有意差なし。
唯一プラセボ内服群に比してアスピリン内服群でMajor bleedingが有意に多いという結果となった。

筆者らはPMI
の主な機序は血栓によるものではなく、酸素供給のバランスの不均衡なのではないか。POISE-2 試験ではアスピリンによる30日後の死亡nonfatal-MIの一次予防には有益性も有害性も判定できず。絶対リスク増加を検証した結果筆者らは術後8-10日後のアスピリン内服再開を推奨している。

心臓血管外科の術後(特にCABG)ではグラフト閉塞のリスクがあるため術後1日目からアスピリンを内服します。(48時間以内に内服することでグラフト開存率が上昇するといわれている。)
それで、出血で困るような経験がなかったため、一般手術においても同様に内服させても問題はないのではないかと思っていました。・・・が、どうやら術後アスピリンをどのタイミングで飲ませるかについてはコンセンサスはないようです。
実際緊急手術の際や、当院の場合EAVRくらいならばアスピリンは中止せずそのまま手術しますが、そんなに出血が多い印象はありません。
また、術後に予防的投与量でのanticoaglantを投与されている患者が65%と高い率でいるのも気になるところです。果たしてアスピリンだけが、出血に起因しているのでしょうか。また本文でも述べられていましたがPEやDVTの発生率に差が出なかったのも予防的anticoaglantの影響と考えられます。

また海外ではどの程度止血を丁寧にしているのかというところも気になるところです。アジア人と比し欧米人は血が止まりやすいと聞きます。凝固系が亢進しやすいのか、その分術後の抗凝固療法はしっかりとやっている印象です。低分子ヘパリンも入院中は当然ですが、術後1か月は外来でしっかり投与されています。


あんまり大きな差はないようですが、今後はしっかりVTE予防をしたうえで、アスピリン再開は術後1週間は待ってみようかと思います。