Challenger’s Live Demonstration

 

一昨年から毎年ライブは見に行っていましたが、今年は出場者側からライブを経験するという貴重な機会に恵まれました。

出場資格は卒後10年目まで、予選は80名、関西予選、関東予選に分けて行われ、8名が選出されました。実技は持ち時間は7分、一人一人中継されるのですが、その前に下の写真のような感じで会場に、自己紹介(卒業年度、経験数)などが会場に中継されます。抱負を言わされます

決勝出場者は例年より、高齢化傾向にあり8年目前後、既にCABGを含む開心術を定期的に執刀されている先生がほとんどでした。毎年多くの先生が緊張して多少なりとも手が震えるのですが、場慣れしているためか、今年はほとんど手の震える先生はいないように思えました。

予選はarrestでしたが、決勝はbeatingで行われました。テルモのbeating systemは昨年よりも性能がアップしEF 15%から30%ほどになっていました。

どちらにしろlow EFなことには変わりなくスタビライザーでしっかりと固定すればarrestとほぼ同様に縫えました。あまりbeatingであることによる縫い辛さは感じませんでした。

助手は主催大学の医局員がしてくださりました。打ち合わせは始まる直前の数分間言葉で説明する形で終わりましたが、さすがの手練れで特に不自由はありませんでした。

 

思っていたよりコメンテーターの先生の声がはっきりと実技会場でも聞こえました。

くじ引きで順番が決まります。私は8人中6番目という好位置をゲットすることができました。

いっぱいいっぱいの状況実技を始めるとで、始めると同時に『グラフトの処理はどうなってるんだ』とコメンテーターから質問、「カットバックは普段入れていますが、豚のグラフトは太いため今回はあえて入れず(斜め切りで)やっています。」

『カットバックはやっぱり入れた方がいい。』と別の先生。いきなりショボーンです。

グラフトの固定の位置が遠いとの指摘、普段グラフトホルダーは使ってないんですよねとの質問。あまり使い慣れてない感じがする。またまた、ショボボーン。

2時間前にβブロッカーを飲み、直前まで全く手が震えてなかったのに、動揺で手が震えてしました。手技に影響するほどではなかったですが。このようなことでは屈さない鋼の精神を持つことが大切ですね。

鑷子をグラフトに突っ込む手技も獨協独特のものなのか、いつもそうやってるのか?との質問がとんできました。あとは縫い始めと縫い終わりが各々toehealに近い点を気にされる先生がいらっしゃいました。確かにちょっと視野の展開という面では縫いづらいかもしれないけど、でもいいんじゃない?と夜久先生。

 

コメンテーターの先生方は他のチャレンジャーに対しても縫っているそばから、プレッシャーをかけてきます。heal3針は少し深いんじゃないか?とか、大丈夫か?大丈夫か?狭窄していないか?とか「あーー今のtoeの1針手前は取りすぎだ」とか、主に新浪先生の手厳しい野次が、とんできました。

去年は会場で視聴者側として見ていて、そんな野次を厳しいなとしか思えなかったのですが、今年はモニターを見ながら、そんな声にシンクロできている自分に気づきました。

やはり普段から精度の高い、いい手術を見ていることと、第1助手という術者に近い位置で見ることができているのが大きく、その点でみなさんに大変感謝の念を感じました。

 

ファイナリストともなるとみんなすごく器用に針を持ち替えback handを駆使し、微妙に針の角度を変えて縫っており、常にほぼ同姿勢で吻合していることにコメンテーターの先生は感嘆されていました。ただし、姿勢を変えて縫いやすい角度で縫うことは決して悪いことではないとの意見もあり。

点数には反映しますかねとの質問に、点数には反映しないが、器用さをアピールする点では加点されるねということでした。

実臨床とは異なりますが、そういう工夫も必要なのかと。またそれをアピールできる(つまり優勝するくらいのレベルの人)はback handを使ってもいいレベルなのだろうと思いました。自分はまだまだ下手くそで、より良い視野で、身体を振ってできるだけ順手で縫う努力をしなくてはならない段階でしかないのだと思いました。課題をあげればきりがありません。

 

東大のO先生(10年目)はもう3年連続の出場になります。練習では1000吻合こなしている東大らしからぬ努力の人は毎年素晴らしい技術を持ちながら惜しくも優勝を逃している、M-1でいえば笑い飯のような存在です。敢えてガーゼで底上げをせず、深い視野で、針の持ち替えを駆使ししており、会場からも感嘆の声が漏れていましたが、惜しくも優勝を逃しました。笑い飯レベルになるとコメンテーターの毎年声をかけてもらえるようで、授賞式の後に『君の吻合はアーティスティックすぎるんだよ。実臨床に伴っていない』と有難いお言葉をいただいたそうです。やりすぎもいけないということですね。

 

優勝したのは土屋総合病院の先生(8年目)でした。昨年も決勝に出場されておりましたが、昨年よりも格段に上手くなっていました。実際の手術も100例ほど術者をこなしており、さすがの貫禄でした。

 

そんな中、川崎医大(3年目)の彼の吻合には驚きました。手術の経験はまだシャントの術者しかないそうですが、実にスムーズで、高齢化傾向のChallengers一同もモニターの前に集まって、驚愕していましたが、うまいよね。3年目でこれだけ縫えるなんてすごいよとの声が漏れていました。

もっと若いうちから、このライブの存在を知って、見て、挑戦しておけばよかったと思いました。

特に若い先生、一度見に行くことをお勧めします。想像以上のレベルの高さに驚愕すると思います。(かつての自分がそうでした。)またコメンテーターの先生の野次も非常に参考になります。

 

 

 

はるか1万キロ離れたシカゴ大学留学中の某先生より、challengersを応援したいとTシャツが送られてきました。お揃いのTシャツを着たせいかchallengers間で妙な結束感が生まれ、「来年もみんなでここに集まろう!」と固い約束を交わし解散となりました。

このような貴重な機会をいただき本当に勉強になりました。Cor onary吻合は全ての心臓血管外科手技の基本であります。たかが、LITA-LADの一吻合からこんなに多くのことが学べるとは!

 

来年もまたchallengしたいと思います。