1日目の夜遅くに名古屋入りしたため、食事会には参加できず、2日目からの参加となった。今回はセッションが少なめな印象だった。どうやら、ポスターの比率を多くし、口演を限定したよう。どの会場にも人が多く、特にシンポジウムは各施設の偉そうな先生方が自施設の成績を強くアピールするような形で、発表でレベルが高く、今後、自身の発表の参考したく思うようなものが多くあった。自身も発表控えていたので、自身(自施設)と比較しながら聴講し、他施設の発表のレベルの高さに感嘆し、また発表まで不安な時間を過ごした。


EVAR長期予後改善のために


リスクファクターを検討する発表と長期予後改善のためにこんな治療やってますよ。の二パターンに分かれた。リスクファクターを検討するものについては統計学的に有意差を出さねばならないためにmulti-centerの発表とならざるえなかった
周術期の血小板の値に注目したもの。
腎のう胞の合併が瘤拡大のリスク
瘤内の血栓量(少ないものが瘤拡大のリスク)
TypeⅡ endoleak


②はわかったところでさて?どうしよう?だが、③に関してはリスクファクターの高いものについてはLAなどのコイル塞栓を追加治療として行うことを検討していた。


長期予後を改善する治療としては、遠隔期の拡大はtypeⅡendoleakが原因となることが主であり、初回手術時にtypeⅡエンドリークをどう根絶するかとういうことが議論になっていた。

IMAコイル塞栓は当然行うべきであり(カットオフ値についても議論されてた。2.5mm~3mmとしている施設が多かった)IMAのコイルのみではTypeⅡendoleakによる瘤拡大率はコイルしない群と比較し、差がなくIMAコイル+αの治療が必要なのではないかと考える施設が主であった。+αの治療とは・・・
     ①  Lumbarもコイルする。昭和大

Lumbarのコイルは大変そうと思ったが、実際は手術時間が20分伸びた程度で、4年の観察期間で遠隔期の瘤拡大は現在のところゼロだそう。特に述べていなかったので脊髄虚血など重篤な合併症はなかったのだろう。
②  NBCAを散布する 大分大学

分枝塞栓などの重篤な合併症もなく拡大率も低下との報告

欧米においてはTypeⅡ=経過観察とされていたが、Asianにおいてはどうもそういうわけにはいかない。人種的な違いもこの結果に結びついているのかもしれない。トラネキサム酸の投与も効果ありと述べる先生もおられた。EVAR後に抗血小板剤を中止することも検討したが、中止できない例が多いため、トラネキサム酸を追加投与することにより瘤拡大を防ぐことができるといっておられた。(具体的にデータをとったわけではないようだが)


最近当院で行っているようにIMA塞栓の代わりにカフをおいている施設はなかった。

Re intervention率をアウトカムとしている施設が多かった。勿論、EVARで簡単に治るといわれ、手術を行うのでre-interventionは患者にとっても少ないほうがよいのだが、再介入の基準が当院と比較すると厳しいように思えた。(半年ないし1年で5mmの瘤拡大を拡大ととっている)



内腸骨動脈血流温存の意義と適応

意義について述べている発表が多かったが、適応について述べている発表は少なかった。


意義

閉塞前後で筋量の測定を行っている施設が2-3施設。筋量はCT腸腰筋面積により評価している。どの施設も前後で優位に閉塞側の腸腰筋面積は減少する。もともとサルコペニアがあると臀筋跛行などの症状が現れない。このことを考えるとますますpoor condition症例には両側塞栓もありなんじゃないかと思う。


治療部門

他施設はできるだけ両側温存を目指しているようで当科のように片側温存派は少数派であった。多施設ではIBEが標準治療になりつつあり、bypassやtranslocationは古典的な方法になりつつある印象であった。ただし、意外に成績もよく、慣れれば(当院でも初期の頃は大出血したりしていたが)解剖学的にIBEが厳しい症例に関してはいい治療法なのではないかと思う。

今後IBEに移行していくと考えられるが、バイパスが必要な症例というのは必ず存在するのではないか。

ではその適応をどう線引きするかなのだが、その点については自施設も含め他施設の発表でも検討されなかった。何しろ症例が少ないうえに重篤な合併症の発生率も少ない。統計学的に優位な差をもって証明することができない。発表後に個人的に質問に来られた先生がおられたが、やはりみんなそこが知りたいところなのであろう。

内腸骨塞栓における腸管麻痺の発生のリスクファクターとしては個人的には結腸切除などの大腸手術の既往のあるもの、rapture症例など周術期の血圧低値が挙げられるのではないかと考えている。


東京医科大学ではできるだけ両側内腸骨血流温存の方針

IBEは何例か行ったが、解剖学的適応が厳しく、脚閉塞の合併症もあったとのことで、AFX+Viaburnでのsnorkel→開窓してViaburnという技工を凝らした治療を行っていた。技術的には申し分ないのかもしれないが、適応外となるため、臀筋跛行を予防するためにここまでするのは倫理的にどうなのかという意見があった。当科では5例しかまだIBEを施行されていないが、そんなに成績の悪い印象はなく、そんな複雑な治療をする必要があるのだろうかというのが、素人の正直な感想である。


神戸大学

内腸骨閉鎖した症例すべてにおいての検討

本幹塞栓したのか、分枝塞栓したのかで比較検討を行った

やはり本幹塞栓のほうが臀筋跛行の発生率は低い。

内腸骨コイル塞栓がn=142例 そのうち両側塞栓が5例なので両側塞栓することに対するハードルは大分高いよう。腸管麻痺は1例もなし。(ちなみにrapture症例も含まれていた)

IBE 12例行っていて遠隔期成績は不明なものの早期成績はよい。


内腸骨虚血の及ぼす影響はわかったものの、どのような症例で積極的に温存するのかといった点で明確なクライテリアがほしい。という座長の一言でこのセッションは終わった。


この日は教授をはじめ、お昼にみんなでご飯を食べに行こうというので、ついていった。澤正というお店のひつまぶし。パリパリで美味だった。私は既に発表を終えていたので、夕方から発表を控えている先生方には申し訳なかったが、昼からワインを飲んだ。


胸腹部大動脈治療の最前線


最初の2演題は外出していたため聞けなかった。(慈恵のendvascularの成績の発表がきけなかったのが残念だった)あとは阪大がTotal end とhybrid repairの比較をしていたくらいか。どちらも成績はよいがハイブリッドのほうが手術時間が長くなるため呼吸器障害や術後腎不全が多くなる、(高侵襲)という結果であった。

それ以外の発表はopen surgery派の発表は最前線というよりは、今までの知見を集約し,疑わしきはすべて潰せといった趣旨のものが多かったように思える。

具体的には

ニトロプロシド、アルファブロッカー、モルヒネ→使用しない

スパイナルドレナージ(全例に施行これだけで半数に減少)ステロイド、ナロキソン 血圧高値、MEPモニター、肋間動脈はすべて再建

目新しいことはなかったが、これらをすべてつぶしていくことによって成績は向上した。特にスパイナルドレナージは有効であった。



EVAR後Type2 endoleakの治療戦略


KKR

ステントグラフト温存瘤縫縮 5例の発表

結果Type3だったもの3例でありハイドロフィットを塗ってELが止まったというが・・・・

術前診断CTのみで開腹しているが、術前にAOGしないのか?そもそもtype3だったら開腹しなくてよかったのでは?

こういった症例は珍しいらしく(当院では結構やっている気がするが)、勿論再発がなく成績もよいので、5例報告で結構いいジャーナルに掲載されていた。当院の症例を論文化するのにいいネタなのではないかと思った。


LAコイル推進派のA先生が再び登場。この先生は一人で2演題も出している。すごいバイタリティーだと思った。

LAをコイルするのはすごくいいことなので、どういった症例が成功しやすいのか検討した、みんなどんどんLAを詰めてほしい。と猛アピール。

2mm以上のLAはコイルしている。LAが複数の場合は2mm以下でもやる。

96% サクセス。LAと直行する血管径 36mm以下が成功しやすい因子らしい。


LA詰めはじめてからは瘤の拡大率60%→2%になった。10mm以上縮小すると。

初期の拡大率60%はちょっと成績悪すぎないかな?と心の中で思った。


新潟大学

LA4本以上開存が瘤拡大のリスクファクターであると。


この日は前日の食事会に参加できなかったので、研修医たちを連れて(いや、連れて行ってもらって)名古屋コーチンの店に行った。適当に入った店だったがとても美味しく食べすぎてしまった。



破裂性腹部大動脈瘤に対する最善の治療


最初の二演題(埼玉医科大学、横市)はOR firstであった。

どちらも30-day mortalityについては検討していたが、在院日数などの点は触られず、あまりよくないのかなとも思った。確かに成績もよいが、EVARを行なわない理由として解剖学的に難しいものに対して対応できないので全てORにするというようなことを述べていた。要はendovascularにあまり長けていないのからORにしているという印象を受けた。オクルージョンバルーンを最近になって使い始め成績が向上したのでこれからもどんどん活用していきたいとのことだが、なんだか時代に取り残されているような印象を受けた。

その他施設はEVAR firstを軸としているが、自施設のデータを解析し、その結果を反省し、ストラテジーを変革させていた。多くの施設が初期は何でもかんでもEVAR firstで行っていだが、reinterventionの率が高く、解剖学的に厳しい症例に関しては無理せず、openで行うようになっていった。


その中でも秀逸だと思ったのが成田富里徳洲会病院の発表だった。この病院自体よく知らなかったのだが、他施設(湘南鎌倉系?)の共同研究でN数も多く症例をscore matchingさせていた。rAAAの予後を決めるのはACSの発生率であり、NBCA散布を行うことによりACSが23%→3.3%に減少したと。


旭川医大もACSに着目していて、自施設の成績の良さはACSの管理のよさにあるとアピールをしていた。

特に場所柄、遠方からの搬送が多く、より早期に治療介入できるようにJOINという遠隔画像システム(スマホのアプリ)らしい。こんなすばらしいアプリがあったのか。


CTの画像を送信でき、携帯画面でそのまま計測もできるらしい。LINEのようにチャットもできる。このアプリのシステムを用いることにより、より早く治療介入を行うことが成績向上につながっているとのこと。


Marperfusion A型解離に対する治療戦略


一言にMarperfusionと言っても多々病態があり、クリアカットにするのが難しい案件である。どの施設もMarperfusion症例には頭を抱えており、成績は依然悪く、あまり目新しい発表はなかったように思える。


これといった基準が曖昧で悩ましいのが腹部Marperfusionであるが

神戸医療センターの発表では動脈層で腹部分枝末梢が描出されるか否かを腸管壊死のリスクファクターとして挙げていた。側副血行路より末梢が写ってくる症例は大概大丈夫であり、映らない症例は全例腸管壊死。また乳酸が上昇あった時点での治療介入では遅く、末梢造影がないものは開腹を先行させるべきであると。


ナユタのランチョン


弱いradial forceのためRTAD SINEないのが長所であるが、留置が難しいためラピッドペーシングを併用している(慈恵、手稲渓仁会病院)。ランディングをしっかりとれるのでBird beagなど起こりにくい。ただし、2つ目の穴の部分は骨格が無く、ELが起きやすいので他社ステントを追加で置くことでエンドリークを防ぐ。単独で使用するとダメダメだとO先生は言っていた。


慈恵は先に補助ステント(TAG)を置き(後ナユタ)

手稲渓仁会病院の先生はナユタを置いた後に補助ステント(Valiant)を置いている(先ナユタ)


ナユターであるK先生は 

上級者Landing 20mmが適正使用だが、それだと適応が狭く、ナユタの出番がないと、上級者向けにIFU外(landing 15mm以下)症例についてレポートされた。

やはり最後の穴を圧着することがコツで補助ステントを置くことでELは激減した。


最初は慈恵よりも早くからナユタを採用していたK本先生を建てていたO木先生だが、ナユタを後に置くとナユタの骨格部分がむき出しになりよくない。と言い出し、徐々にヒートアップしていき、IFU外に使うのはお行儀が悪い、やっぱりうちみたいに、適応は守らないと!と言い出し、延長した最後の20分は専らこの話であった。演者の先生もどうしていいかわからず、口数は徐々に減っていった。最後は「みなさん武者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。みなさんも(我々のように)賢者になりましょう。」というO木先生の一言で締めくくられた。O木節は相変わらずであった。


女性医師のセッション

今回のテーマは放射線防護であった。今まであまり放射線を使う手技を行う機会も少なかったので気にしていなかったが、これからはそういう機会も増えるだろうと深い興味を持って参加した。

・20歳を過ぎたら甲状腺は守らなくても大丈夫らしい。(加齢とともに退縮するのでその必要はないのだとか。)

・エビデンスは無いが頭は守ったほうがよいらしい。

・奇形の発生率には関与しないらしい。

実は一番気にしているところだったのだが、これを聞いて安心して血管内治療に参加できると思った。

・O木先生は全く放射線防護を気にしておらず、医局員の誰よりも大量に被爆しており、みんなに心配されているらしい。

慈恵の女医さんが言っていた。女医で不便に感じたことは一度もありません。少ないので逆にみんなに丁重に扱ってもらえます。と。

O先生は意外にフェミニストなのだとか。


忙しい中2日間参加させていただき、大変申し訳ありませんでしたが、それだけ得られたものも大きかったと思います。他施設の発表を聴講し、また自施設の成績を検討、比較し自施設の治療戦略が最善のものなのかどうかを考えるよい機会となりました。やはり成績のよい施設の特徴としては、症例を振り返り検討し、ストラテジーを変化させていってます。学会に参加し、美味しいものを食べるのもひとつの醍醐味ではありますが、今後も積極的に学会発表を行い自施設の最善を模索する作業のお手伝いができればと思っております。

この度はこのような貴重な機会を与えていただき有難うございました。

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